「対話」で考える生活のきまり
本校には、制服などの着こなしに関する「生活のきまり」いわゆる校則はありません。『自分で考え判断し行動する東部中生』を最上位目標にしているため、着こなしについても、全員が安心安全に学校生活を送れること、命や健康を守れること、誰かが不快な思いをしないこと、学習に支障が出ないこと、互いの自由を尊重し合えること、マナーや常識、TPOなどをもとにして、自分で考え判断して着こなすことになっています。
それは、3年前にジェンダーフリーの標準服を採用したことから始まりました。それまであった「生活のきまり」(校則)は、制服が変わることで見直しをかける必要が出てきたからです。
そこで、そもそもルールは何のためにあるのか、どのようなきまりなら必要なのか、何を基準に考えたらいいのかなどを、当時の生徒の皆さんが、学校の最上位目標とも照らし合わせながら繰り返し繰り返し話し合いました。その結果、たどりついたのが『校則で決めるのではなく、自分で考えて判断して行動できるようにしよう!』というものでした。
「生活のきまり」(校則)がなくなったことで、「自分で考え判断して、髪形や服装を選んでいるので、学校教育目標の『自律』に近づいていると思う」、「自分にあった着こなしができているし、過ごしやすくなった」、「個性が表せるようになった」といった肯定的な声が多数ある一方、着こなしの仕方について疑問に感じる点があったり、先生と生徒また生徒同士の中でも捉え方が違ったりするなど、みんなで考え続けていきたいこともまだまだありました。
学校は子ども達が主語ですから、本校では「自分たちの学校は自分たちの手で創る」を合言葉に、学校生活についても生徒会が中心になって、毎年様々な形で話し合いを続けてきました。
今年度の後期生徒総会に向けては、東部中の生活や服装などについて、生徒と教員が一緒になって対話する時間も設定されました。これは新生徒会副会長が発案し、評議員会の中で実行されたものです。
写真のように教員と生徒が「えんたくん」ボードを囲んで、生活委員会で取った「東部中生の生活や服装に関するアンケート」の結果を見ながら、思っていること・考えていることを話し合いました。
その後、各クラスの学級討議でも、同じテーマで話し合いが行われ、全校生が感じていることを出し合う時間となりました。
2月22日に行われた後期生徒総会の中では、学級討議で出された意見が各クラス代表から発表され、それについて執行部が返答していく形で、全校の考えを共有する時間がありました。
各クラス代表から発表されたことは・・・
体育着登校のこと、パーカーやカーディガンの着用方法、スカート丈などについて。
このことについての「正解」はありません。人の感性や考え方、思いはみな違います。そんな人たちが一緒に生活する学校という場を、誰にとっても安心安全で暮らしやすい場にすること、全員が笑顔で生活できる場にすることが必要です。そこには”対立”が生まれます。みな違う意見を持っているのですから、”対立”が起きるのはあたり前です。それをどう乗り越え、どう考え、どう行動したらいいのか、その場にいる人たち全員が「対話」を通して納得できる答えを見つけ出していくことが大事なのだと思います。
生徒総会の中では、旧生徒会長が校則がなくなった経緯も含め、後輩に託す思いを話してくれました。「自分たちに判断を任せられているからこそ考えたいこと」・・・。
時代が変われば考え方も変わっていきます。その時、そこにいる人たちみんなで話し合って答えを見つけ出していく、これからも東部中にかかわるみんなで「対話」しながら納得解を探し続けていきたいと思います。